事の発端は、トランプ大統領との首脳会談で安倍晋三総理が渡米した際に発信された朝日新聞社・神田大介テヘラン支局長のツイートである。

〈安倍首相、大丈夫かな…またおなか痛くなっちゃうのでは〉(2月11日)

 このツイートが、安倍総理の持病を揶揄しているとの理由で大炎上した。その模様は産経読売の両紙のみならず共同通信までが報じたほどだ。

 安倍総理の持病は腫瘍性大腸炎と言い、治療法が確立されていないため国の難病指定を受けている疾患(特定難治性疾患)だ。繰り返す腹痛と下痢を抑えることができないのが症例で、そのために二〇〇七年、安倍総理はわずか一年で総理の座を降りてもいた。

 また、腫瘍性大腸炎は難病の中ではもっとも発病率が高いとも言われ、発症者が急増しているのだそうだ。二〇一四年の調査(厚生労働省)では、発症者数は全国で約十七万人以上となっている。

 安倍総理の持病を揶揄したツイートは、同時に、治療法の見つかっていないこの病気で苦しむ十七万人以上の人たちを揶揄したにも等しかった。だから、神田支局長は批判された。朝日の記者ってのはなんて無神経なのだと。人権だ寛容だ多様性だと言っているその口で病いに苦しむ人たちをからかうのかと。

 批判を受け、神田支局長は謝罪の言葉とともに当該ツイートを削除した。

〈このツイートは不適切だったので削除しました。安倍首相をはじめ、病気を揶揄するつもりはなかったんですが、そのように受け取られて当然のひどいツイートでした。お詫びし、撤回します。申し訳ありませんでした。